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100年先も家具の産地であり続けるために。大川市が新たに取り組む「早生広葉樹 センダン活用プロジェクト」とは

福岡・大川家具工業会が未来のためにスタートした取り組み「早生広葉樹センダン活用プロジェクト」。このプロジェクトでは、早生広葉樹センダンを植樹し成木になるまで大切に育て、大川市で製材、加工する活動を行っています。今回は、工業会地域材開発部会の部会長の田中智範さんに「早生広葉樹活用プロジェクト」やセンダンの木を使った取り組みについておはなしをお聞きしました。

早生広葉樹「センダン」が創る

日本一の家具生産地の新たな未来

——「早生広葉樹活用プロジェクト」について教えてください。

田中 「早生広葉樹活用プロジェクト」では、早生広葉樹センダンを植樹し成木になるまで大切に育て、大川市で製材、加工する活動を行っています。大川市には木を育てる環境がなく、古くから大分県日田市で育った木を運び加工して家具を生産してきました。近年では、海外からの材木を輸入しているケースも増えています。そこで工業会では、2006年から、家具生産地の未来を考え、国産材を活用する取り組みを始めました。

最初はすでに植わっているスギやヒノキを商品化し、ブランディングしていくことからスタートしたのですが、あるとき、センダンについてはなしを聞く機会があり、センダンの木が持つ魅力に触れ、植樹活動をはじめようということになりました。

——どのようなところにセンダンの魅力を感じられたのでしょうか?

田中 センダンの一番の魅力は、成長速度です。センダンは成長が一番早い広葉樹と言われていて、植樹をして約15〜20年で成木になり、伐採ができます。成長速度に比例して、CO2の吸収能力が一般的な広葉樹に比べ約3倍高く、地球にも優しい木なんです。さらにセンダンはスギやヒノキに比べ強度があり、家具材にも適しています。木の色合いもよく、木目がとても優しいのも特徴です。

センダンは英語にすると、「Japanese Mahogany(ジャパニーズ マホガニー)」と表されます。マホガニーは、世界の三大銘木のひとつです。世界でも愛されているマホガニー同様、センダンも今後海外でも愛される材木になるだろうと思いました。センダンには材木としての魅力もあって、将来性も十分にある。これは工業会が取り組むべき価値があると考え、センダンをブランド化するために動きだしました。

——センダンの木はたくさんの魅力があるんですね。しかし、普段センダンの木を見聞きする機会が少ないのですが、まだあまりメジャーな木種ではないのでしょうか?

田中 スギやヒノキに比べると知名度は低いですが、最近河川敷などをよく見るとセンダンの自然木が植わっています。これは鳥が実を加えて行って、自成したものです。秋になるとオレンジ色の実がたくさんなるのがセンダンの特徴です。ぜひ家の近くなどで探してみてください。

熊本県内ではセンダンの植樹が積極的に行われています。大川市の製材所では以前から熊本県のセンダンを仕入れて家具を作っていました。熊本県は、センダンをまっすぐ育て、直材を確保する技術も開発しています。最近は国の研究機関も、どのような土壌でどのような環境であればセンダンが育つのかを研究しているようです。あとは耕作放棄地への植樹の取り組みも進んでいるので、適地にはセンダンが植樹される機会も今後増えていくと思います。

「センダンサイクル」で実現する国産材の新たな活用方法

——早生広葉樹活用プロジェクトのひとつ「センダンサイクル」とは、どのような取り組みでしょうか?

田中 「センダンサイクル」は、植樹したセンダンの木を使った家具製作を目標とする取り組みです。このプロジェクトがスタートするまで、工業会では環境問題に本腰を入れて取り組んでいませんでした。これまでは日本の家具業界の大半が、東南アジアの木を輸入していました。東南アジアが枯渇すると、北米、ヨーロッパ、中国などに輸入先を変え、各国で森林の過度な伐採が問題となっています。この問題に向き合う中で、家具を製造する私たちが、自分たちの使う木を植樹することに大きな意味があるのではないかと考えました。
私たちがまず取り組んだのが、大川市に住む4歳〜6歳の子どもたちとの植樹活動です。センダンの木は、子どもたちが成人式を迎える頃に成木になります。この成長速度を生かし、子どもたちが植樹した木を伐採し、机や棚を作って幼稚園や小学校に寄贈するというプロジェクトも同時に進行中です。この活動が形になる頃には、センダンがもっと一般的になっていると信じてみんなで一丸となって取り組んでいます。

——家具の街、大川市だからこそできる素敵な取り組みですね。センダンの植樹活動後の反響はいかがですか?

田中 2016年から毎年植樹活動を続けて、今年で5年目を迎えました。コツコツと活動を続けるうちに、いろいろな自治体から、「植樹をしたい」というお声をいただくようになりました。福岡県内をはじめ、長崎県や宮崎県、鳥取県などにも植樹に行きました。今では毎年10カ所程、植樹のオファーをいただいていて、今までに合計3,000本ほど植樹しています。

私たちの想いに賛同してくれる仲間も年々増えてきました。さまざまな世代の方々がセンダンの植樹活動に協力してくださっています。「センダンサイクル」を通じて、家具メーカーとして森林を守る取り組みができていることが、自分たちの誇りや自信にもつながると信じているので、今後は大川市全体で取り組んでいければと思っています。

——「センダンサイクル」の他にも、国産材を活用する取り組みはありますか?

田中 センダンを新たに植えるためには、今ある木を伐採しないと場所の確保ができません。すでに育っているスギやヒノキを商品化することも、私たちの使命だと思っています。そこで取り組み始めたのが、地域の森活性化プロジェクト「ふるさと家具」です。自治体によっては、木材はたくさんあるけど、技術やインフラがない地域もあります。そういった地域と大川市が協定を結び、その場所で育った木を材料にして家具を作り、木を提供してもらった地域に買い取ってもらう取り組みです。そういった活動にちなんで、「ふるさと家具」という名前になりました。

各自治体で育った木を丸太にして大川市に持ってきてもらい、大川市内の家具メーカーが、製材、企画、開発、デザイン、商品化、物流までをワンストップで行います。自分たちの地域で育った木が、自分たちの住む場所で使われる「ふるさと家具」は、自治体にとって魅力的な取り組みになると思っています。また、その活動の一環として、地産地消の木製玩具による木育を推進する取組「ウッドスタート」も推進しています。

——「センダンサイクル」の今後の活動やこれからの目標について教えてください。

田中 大川市の産業がなくなることは、この場所で育つ子どもたちの未来にも影響を与えると思っています。私たち工業会の使命は、子どもたちの未来のためにも、木工の技術を守り発展させていくことです。今の大川市は、家具をメインに作っていますが、これから家を作ってもいいし、飛行機を作ってもいい。宇宙開発の分野でも木工の技術が取り入れられることがあるかもしれません。そんな未来を想像しながら、みんなで意見交換をしてどんどん新しい分野にチャレンジしていきたいと思っています。「早生広葉樹活用プロジェクト」は、大川市の未来を支える大きな柱になっていくと信じています。